ビタミンE、抗酸化物質として聴覚損失を防ぐ可能性あり

ビタミンE、抗酸化物質として聴覚損失を防ぐ可能性あり
ビタミンEは原因不明の突然の聴覚損失から回復するのに有効である可能性が、イスラエルの研究チームが発表する。

この研究結果はいろいろな疾患から回復を助けるビタミンであるビタミンEが抗酸化物質として聴覚損失からの回復にも役に立つ可能性があるのではないかと見られている。
毎年4000人あまりのアメリカ人が突然の、また何かの病気が原因からきている聴覚損失に襲われている。おおよそ3分の2のISHL患者がビタミンE療法で回復が見られておるが、ビタミンE療法を行なっていない患者にはとくに一貫した療法が無い。
しかし、先行する証拠としていくつか抗酸化物質がこの病気に役立つということがあげられている。 以前の研究からはスーパーオキサイド(スーパーオキサイドアニオンラジカル、O2-)が音からの心的外傷、耳に有害な薬の投与 (耳ダメージを与える)や炎症性疾患のある動物実験の内耳実験に発現したのが見られた。

他の実験から、抗酸化物質は抗がん薬による聴器毒性など、一般的な化学療法から耳を守る働きがあることを示している。
抗酸化物質が内耳の回復または予防の役割があるかもしれないという可能性をみつけるために、イスラエル、ハイファのTechnion-Israel Institute of Technologyの研究員たちが無作為に 突然聴力を失った平均年齢41歳の66人の患者に2つのグループに分けた。
寝台での休息やステロイド治療など、基本的な治療は同一のもので、違う点は1日800mgのビタミンE投与を一つのグループに行なったことである。聴覚損失の重症度はほんのわずかばかりではあるが興味深い回復のきざしが見えた。それは治療の成功の印であり、75%かそれ以上もの改善が見られた。1日800mgのビタミンE投与をしたグループでは著しい回復が見られた。
回復の速度が75%かそれ以上もの患者は15人患者 (もうひとつのグループのうちの45%)と比べて、1日800mgのビタミンE投与したグループ内の26名に上る(3/4にあたる)。
ビタミンEに抗酸化効果があることは数年前から知られていた。 それが発見されて以来、ビタミンEの本質的な要素は神経系機能に影響があることと理解されてきた。心血管疾患、癌リスクの減少、また免疫系機能の病気の予防にも関連していると分かった。
"これからの研究は、突発的な聴力損失のために、抗酸化の役割に対してよりよい理解を示し、方向付けされるべきである" と研究者たちは言う。
彼らの発見はAmerican Academy of Otolaryngology-Headに掲載され、Neck Surgery Foundation Annual Meeting & ニューヨークOTO EXPOで今週発表される。 この研究に関しては2003年7月に刊行されたOtology & Neurotology (24(4):572-5) でも取り上げられている。





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